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2024/04/26 休職プロセスのナビゲート 〜人事・労務担当者&管理職のための実践ガイド〜

※この記事は、2024/2/7(水)のCarely・Smart相談室の共催セミナーを基に作成した記事です。


セミナー開催の背景

従業員の「休職」に課題感を感じている人事・労務担当者&管理職の方は、多くいらっしゃるのではないでしょうか?


【休職に関してよくあるお悩み】

  • 休職対策として、人事・労務がやるべきことが分からない
  • 従業員が突然メンタル不調になり、予兆が分からない
  • 復職後の支援のポイントや留意点が分からない


そこで、企業の健康経営基盤を構築する株式会社iCAREの小川さまと、働く人のさまざまな悩みに寄り添うオンライン相談窓口を運営しているSmart相談室の石田さまが、「休職」に関する皆様の気になるテーマを深掘りして、解説いたします。




休職プロセスにおいて人事・労務担当者がまず始めにやるべきこと
① 三方が共通認識を持つための取り組み


小川さん:

今回は「精神的な不調によって一定期間働けなくなった場合の休職」に特化してお話しします。怪我や腰痛の悪化など身体的な要因・出産や育児に関連する法定の休職は扱いません。

下記の図 [休職に入った従業員の健康状態] をご覧ください。休職期間の初めはもはや働くことはできない状態で、そこから波打つように徐々に状態が良くなってきます。状態は「就業可能・日常生活可能・療養」という3段階に分けられます。

休職に入った従業員の健康状態
休職に入った従業員の健康状態

小川さん:

ここから分かることは、"働く" という状態は "日常生活が送れる" 状態よりもっと健やかでなければいけないという点です。言い換えると、体力があり気力や集中力が保てる・週40時間の通勤や会議に出るなどの活動ができて、ようやく「就業可能な状態」で復職ができるのです。


また、主治医の先生と会社の産業医が復職OKであると判断する段階が異なるという点にも注意が必要です。主治医の先生のOKという判断は「病気の状態から脱し日常生活が可能」であって、会社の産業医がOKとするのは「就業可能である」という段階を指します。


主治医と産業医の判断が異なることについて人事・労務担当者のみなさまには認識があると思いますが、休職する従業員自身やその上司の方が、同じ認識を持っているのか?というのが非常に大事なポイントです。


つまり、「休職対策として、人事・労務担当者がまず始めにやるべきこと」という質問に戻ると、休職する従業員/その上司/人事・労務担当者の三方が共通認識を持てる社内規定を作成することです。


一般的な指針は社労士から得ることができますが、具体的な社内運用のルールを作成することが重要です。

株式会社iCAREのCarelyでは、休職開始時〜復帰までのフローのテンプレートを提供し、社内運用のルールを作成するサポートを行っています。
三方が共通認識を持つためにフローを明確に資料化することも、復職プロセスにおける誤解や漏れを防ぐためにも重要な取り組みです。

休職開始時〜復帰までのフローのテンプレート
休職開始時〜復帰までのフローのテンプレート(一部抜粋)




休職プロセスにおいて人事・労務担当者がまず始めにやるべきこと
② セルフケアを始めとする、複数の対策を組み合わせて実行する

石田さん:

私からは「従業員の心身の不調は検知しづらい」という点から、人事・労務担当者が行うべきことをお伝えしていきます。

人事・労務担当者は従業員1人1人の様子を確認することはできません。だからこそ、「誰も言ってきていないからウチは大丈夫…」という考え方はせずに「何かあるかも…」という考えを念頭に置いていただきたいです。


従業員の精神面の健康を保つための対応策は多くありますが、重要なのは1つの対策だけではなく複数の対策を組み合わせることです。

みなさまの会社で何かしらは実施されているとは思いますが、"把握するだけ" や "打ち手として存在するだけ" になっていませんか?

下記の「どの状態の従業員に対して、何を目的とした対策なのか」を表現したマップから、不足している部分がないかを振り返っていただけたらと思います。

従業員の精神面の健康を保つ対策マップ例
従業員の精神面の健康を保つ対策マップ

石田さん:

さて、「心身の不調は検知」は、いつ・だれが発見しケアできるのでしょうか?

メンタルの不調に最初に気づけるのは、やはり自分自身です。
メンタル面の悩みはなかなか他人に言いにくいところからも、セルフケアができる仕組みに注目したいです。


メンタルの不調を従業員が自発的にケアをするため、会社が用意するよくある方法として「相談窓口の設置」が挙げられると思いますが、なかなか活用されていないという実態があります。


その理由として、最も挙げられるのは「相談内容を他人に知られてしまう可能性があるから」という点です。相談窓口・人事を通して、他人に知られたくないことが広まってしまうことや、上司からの評価にネガティブな影響を与えてしまうかもと、相談がしにくいことが読み取れます。


加えて、職場では弱音を我慢する傾向が強いかと思います。
そのような状況では、他人のメンタル不調に周囲が気づくのは非常に難しいため、「ちょっとしんどいかも?」と気づいた時に相談してセルフケアをするという空気感を社内に作っていくことも人事・労務担当者のみなさまに対応いただきたいことです。

Smart相談室の調査結果(調査期間:2023/12/4〜12/8)
Smart相談室の調査結果(調査期間:2023/12/4〜12/8)
Smart相談室の調査結果(調査期間:2023/12/4〜12/8)




復職後の支援で管理職が留意することは?

小川さん:

管理者の方へのメッセージとしては、復職時の従業員のケアを1人でなんとかしようとしないことです。

事業の目標達成を最優先にしている中で、復職された方のサポートをするのは非常に大変です。ただ、会社からは大事だからしっかり対応してくださいと言われる…となると、管理職の方自身に負担が大きくなってしまいます。

従業員の方がセルフケアできるくらいに回復するまで、職場で1番近い存在の管理職の方の支援も必要ですが、先ほど話が出たように複数の支援を組み合わせることが重要です。例えば、社内の産業保健スタッフ・産業医・保健師・カウンセラー、あるいはCarelyやSmart相談室のような社外の支援サービスをうまく活用いただければ幸いです。



Carelyのご紹介(提供元:株式会社iCARE)

Carelyは、組織の健康管理の体制・人員・運用ルールなどを整備していくことで、企業の「法令遵守」や「業務効率化」を実現していく、"組織" の健康管理を目指した企業ケアサービスです。


【Carelyが解決できる課題】

健康経営の体制づくり・人材の確保・施策のテコ入れまで、お困りの課題やフェーズにかかわらず、貴社の健康経営を多角的にサポートします。

  • 健康管理に関する情報を、紙やExcel管理をしているため業務効率が悪い
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【CarelyとSmartHRを連携するメリット】

  • SmartHRの従業員情報をCarelyにワンクリックで連携することが可能です。
  • これにより、入退社や異動に伴う従業員情報の更新や、登録・削除の対応が不要になります。


また、従業員の健診結果・面談記録などの機微な健康情報は、閲覧権限などの問題でSmartHRでは保管が難しいかと思います。
「健康管理システム」という専用システムに保管することで、セキュリティ強化を図りましょう。

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